NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 横浜ロシア語センター

第2回 ロシア語講師のためのミニシンポジウム

第2回ロシア語講師のためのミニシンポジウム

少人数制の横浜ロシア語教室だからできる、使えるロシア語の教授法を求めて!!

 この10月に第123期を迎える横浜ロシア語教室は、皆様のお陰を持ちまして、創立54年の歴史を持つ貴重なロシア語の学び舎としてその存在感を高めています。この間にはロシア語を取り巻く環境も激変し、当教室のロシア語講師たちも今の時代に応じたロシア語の教え方を学び、工夫しながら努力を重ねています。 来る10月3日(土)、横浜ロシア語教室は、そういったロシア語教育に携わる方々を対象にした、知識と経験を共有する「ミニシンポジウム」を開催いたします。

 第1部では、タチヤーナ・シプコーワ先生が、1年間当教室で教えた経験に基づき、ロシア語にてその報告をいたします。徳永晴美先生からもコメントをいただきます。その後は質疑応答を必要に応じてロシア語・日本語の両方で行います。

 第2部は、皆さんとお茶を飲みながら、経験と意見の交換を行う予定です。

 会場の都合で人数制限(15名)があり、当教室の講師を優先させていただきますが、当教室以外の講師や受講生でも教授法に関心のある方は参加できます。申し込み順に受け付け、満員になり次第締め切らせていただきます。

第1部 14:00-16:00
1. 報告タチヤーナ・シプコーワ(横浜ロシア語教室講師)
《ПРЯМОЙ МЕТОД ПРЕПОДАВАНИЯ НА КУРСАХ РУССКОГО ЯЗЫКА》
「ロシア語教室での直接教授法」
2. コメント徳永 晴美(元上智大学教授)
3. 質疑応答「ロシア語直接教授法:どのように?どこまでできる?折衷法は?」など
第2部 16:00-17:00
内容参加者意見交換会(茶菓子付)

日時10/3(土)14:00-17:00
会場横浜平和と労働会館 5階教室
参加費一般1,500円、会員1,000円、横浜ロシア語教室講師500円
定員15名(当教室講師優先)
お申し込み締切10月1日(木)

1. ご用件、お名前、電話番号、Eメールアドレス、参加希望の催し物の名称を横浜ロシア語教室事務局にご連絡ください。
こちらのメールフォームに必要事項を入力・送信してください。
または Tel/Fax: 045-201-3714 へご連絡ください。


2. 当日、教室の受付で料金をご納入ください。

 10月3日(土)14時より、「第2回ロシア語講師のためのミニシンポジウム」が行われました。

 外国人対象ロシア語教授法を専攻した日本でも数少ない存在であるタチヤーナ・シプコーワ先生が「ロシア語教室での直接教授法」をテーマに発表し、123期より当教室でゼミを開講することになった徳永晴美先生からもロシア語でびっしり書かれた資料と折々のコメントをいただきました。

 シプコーワ先生は、直接法、間接法、折衷法、速習法といった様々な教授法について紹介、その後自らが実践している直接法について、美しく聞き取りやすい発音のロシア語で、言葉が溢れ出て止まない様子で説明しました。

 生徒の目的によって適切な教授法は異なりますが、その言語のみで教える「直接法」は、教師が外国語を話せない・多国籍の生徒が1クラスに集まっている・生徒がすぐに会話を身につける必要がある・訳せない表現を直に体得する等の場合に適しています。授業では話すことと聞くことに重点を置き、読み書きは宿題として行います。生徒がわからない言葉は訳す代わりに易しいロシア語に言い換えて説明します。文法や文学の解説にはやや不向きで、コミュニケーション中心の授業は日本人に多い内向的な生徒にとって難しい点もあるようですが、身の周りの物事や絵カードや動画などの視覚教材を豊富に用いて理解の助けにし、例えば文法なら「自分の職業」を紹介し合う中で名詞の性を、「今週したこと」で完了体を、「時間(何時に何をした)」で過去形を…と、日常生活と関連付けて習得させます。

 シプコーワ先生は1つの授業に4~5時間かけて準備をするそうですが、教師の仕事は授業の15%ほどで、残りの85%は生徒の仕事だということです。

 参加者は横浜ロシア語教室や大学や他の語学学校で教えているロシア語教師、徳永先生の教え子、当協会役員など、ロシア語教授法に関心のある12名。発表の中やその後の懇談会で、教師の方々の実体験、教科書や教授法の問題点、習う側からの印象、授業の時間配分(「計画なきものは授業ではない」シプコーワ先生談)など、様々な興味深い話が伺えました。ロシア語教科書数冊の編纂に当たったある先生の「現代のロシアで一般的に使われている表現を入れようとすると、それを否定して古めかしい表現に変えさせようとする古い先生方がいて、抵抗するのが大変だった」というエピソードに対して、徳永先生が「教師は自分が習った時の教え方を繰り返す傾向がある。もしかしたら今教室で使われているのは100年前の教え方かもしれない。教師は教授法を常に勉強し続け、更新していかなければならない」と仰っていました。

 言葉を生業とする先生方の話は尽きないようでしたが、瞬く間に終了時刻が来てしまいました。第3回の開催も望まれます。

神奈川県日本ユーラシア協会機関紙
「日本とユーラシア」2015年10月号
より